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米国では連邦請負業者に義務付けてきた障害者雇用7%目標と、障害者属性データの追跡義務を外す方向で規制改定が進んでいる。長年、障害のある人やニューロダイバージェント(神経学的に多様な特性を持つ)人材は採用選考での偏見や、入社後の配慮不足に直面してきた。今回の制度見直しは、こうした状況の後退を招くとの懸念を広げている。一方でMicrosoftのように、従来型の面接ではなく実務能力を確かめる選考で人材を見極める企業の取り組みも存在し、制度変更後にこうした民間の自主的な仕組みがどこまで踏みとどまれるかが焦点となっている。

引用元: 米政府が障害者雇用の目標制度を縮小、ニューロダイバーシティ採用への影響が焦点に(Reuters)

分析・見解

7%目標という数値が持っていた実質的な強制力

連邦請負業者に課されてきた障害者雇用7%目標は、罰則を伴う強制ではなく努力目標に近い制度だった。それでも人事部門にとっては、毎年の雇用実績を数値で報告する仕組みがある以上、採用計画に障害者採用の枠を組み込む根拠になっていた。目標が外れれば、この根拠が消える。数値目標がなくなっても善意で採用を続ける企業はあるが、予算や人員が逼迫した年に真っ先に削られるのは、こうした「義務ではない」取り組みだというのが人事現場の実感に近い。実際、障害者雇用支援の現場では「目標がなくなった年から問い合わせ自体が減った」という声も珍しくない。

データ追跡なき職場で配慮は自主申告頼みになる

属性データの追跡義務が外れると、企業は自社の障害者雇用の実態を把握する手段を失う。採用後にどの部署で定着率が低いか、どの配慮(=働きやすくするための調整)が効果を上げているかを検証できなければ、改善のサイクルは回らない。結果として、配慮の提供は本人からの申告と管理者個人の裁量に委ねられる割合が増す。申告のハードルの高さは、これまでも障害者雇用が伸び悩んできた一因であり、データという後ろ盾を失うことでこの構造はむしろ強化されかねない。

Microsoftの実務重視選考が示す代替モデルの可能性

Microsoftのニューロダイバーシティ採用プログラムは、一般的な圧迫面接を課さず、数日間のワークショップ形式で実際の業務課題に取り組ませて適性を見る方式を採る。口頭でのコミュニケーション能力ではなく、コードを書く、データを分析するといった実務のアウトプットで評価するため、自閉スペクトラムなど対人コミュニケーションに特性を持つ人材の力を見落としにくい。この方式が注目されるのは、法規制の有無にかかわらず、企業の採用ノウハウとして機能してきた実績があるからだ。

民間の自主的取り組みが試される転換点

法的な後ろ盾が薄くなる局面では、こうした民間発の仕組みが代替のよりどころになり得るかが問われる。ただしMicrosoftのような取り組みは人事予算に余裕がある大企業だからこそ維持できる面もあり、中小の請負業者が同水準の選考を自力で設計・運用するのは容易ではない。制度の後退が、結果として採用手法の格差を大企業と中小企業の間に広げる可能性も見ておく必要がある。

ビジネスへの影響

自社の障害者雇用データを今のうちに可視化しておく

連邦の追跡義務が緩めば、多くの企業は障害者雇用の実績報告を「やらなくてよいこと」に分類しがちだ。しかし採用の多様性は、人材確保が難しい職種ほど競争力に直結する。義務がなくなった今こそ、自社独自の基準で採用数・定着率・配慮の申請件数を記録し続ける企業が、数年後には他社に説明できるデータを手にする。規制が再び強化された局面での対応コストも、記録を続けていた企業の方が明らかに低い。特に技術者採用で母集団が枯渇している業界では、こうした記録の有無が数年後の採用競争力の差として表面化するだろう。

面接方式を見直すコストは想像より小さい

Microsoft型の実務課題選考は大がかりな制度に見えるが、実際には既存の技術試験やケーススタディ課題を、対面の圧迫面接の代わりに使うだけで始められる。中小企業でも、最終選考の一部を「1日だけ実際の業務を体験してもらう」形式に置き換えるなど、小規模な導入から着手できる。母集団の広がりは、単なる社会貢献ではなく、応募者が少ない専門職で採用難易度を下げる実務的な打ち手になる。またMicrosoftが公表している通り、この方式を導入した部門では離職率が低下したという社内データもあり、単なる理念ではなく定着率という数字で効果を語れる点が説得力を持つ。

制度後退を採用ブランディングの差別化材料にする

法規制が後退する局面ほど、自主的に配慮体制や実績を開示する企業は相対的に目立つ。求人媒体や自社サイトで障害者雇用への取り組みを具体的な数字とともに発信することは、今後数少ない差別化要因になり得る。採用サイトのトップページに数値目標を掲げるだけでも、応募者からの信頼は変わってくる。

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